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出生前診断 (羊水検査・絨毛検査・血清マーカー・NIPT・胎児ドック)と 着床前診断 (PGT)の違い

生まれてくる赤ちゃんのダウン症などの染色体異常のリスクを評価することが出来る医療技術として知られている出生前診断と着床前診断。このふたつはどう異なるのでしょうか? 出生前診断 と 着床前診断 について、違いを解説いたします。

■ 出生前診断 とは

出生前診断とは、妊娠中、すなわち出産前に子宮内の胎児を対象に染色体異常の有無を診断する医療技術です。羊水検査、絨毛検査という確定検査や、NIPTと呼ばれる非確定検査に分かれています。確定検査は子宮に穿刺するため、胎児への侵襲(ダメージ)が懸念されますが、染色体異常に関して確実な結果を得ることができます。対して、非確定検査では、胎児への侵襲は少ない分、陽性リスクの有無を調べるのみとなり、詳細情報は分かりません。

下記で、各検査の内容を説明します。

■ 出生前診断 の確定検査の種類

・羊水検査

染色体異常を調べることが出来る「確定検査」の一つです。妊娠15~16週目に実施します。超音波エコーを用いて、お腹に針を刺すことで子宮から抽出した羊水から、胎児の染色体異常や遺伝子疾患を調べます。

・絨毛検査

妊娠11~14週目に行う確定検査です。羊水検査と同じく、妊婦のお腹に針を刺し、胎盤の絨毛細胞を採取します。こちらも胎児の染色体異常や遺伝子疾患を調べます。

■ 出生前診断 の非確定検査の種類

・母体血清マーカー検査

妊娠15〜20週に、妊婦から血液を採取し、血液中の胎児のたんぱく質やホルモン等の物質を調べることで胎児の疾患の陽性リスクを検査します。18トリソミー(エドワーズ症候群)、21トリソミー(ダウン症候群)、神経管閉鎖不全症を検出します。クアトロテストとも呼ばれます。

・NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査・新型出生前診断)

NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査・新型出生前診断)では、妊娠10週以降に、妊婦さんから血液を採取して、血液中の胎児のDNAの断片(cell-free DNA)を分析します。13トリソミー(パトウ症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、21トリソミー(ダウン症候群)を検出します。

・胎児ドック(胎児超音波検査)

胎児ドックは、通常の超音波エコーよりも細かく胎児の身体の形成度合いを画像で確認することができます。そのため、各身体部位の形態や大きさを確認することで、身体の特定の場所に形態的な特徴を持つ染色体異常に基づく遺伝子疾患の可能性を調べることが可能です。妊娠初期、中期、後期それぞれで受けることが可能です。

■ 着床前診断 とは

着床前診断とは、妊娠前、すなわち着床前に、凍結胚(受精卵)を対象に行う診断のことです。こちらも染色体異常や遺伝子疾患の有無の確認が可能です。PGT-A、PGT-M、PGT-SRに分かれています。

PGTについての詳細はこちらのページをご覧ください。

■ 出生前診断 と 着床前診断 の違い                     

出生前診断と着床前診断検査では、検査を受けるタイミングが異なります。出生前診断は妊娠してからの検査であるのに対し、着床前診断は妊娠前(着床前)の検査です。そのため、着床前診断では検査をする際の母体へのリスク低減になるだけでなく、検査結果を受けて移植する胚を選別することで、より健康な子供を出産できることにもつながります。

どちらも胎児の染色体異常や遺伝子疾患の有無を調べることが可能ですが、出生前診断だと既に妊娠している状態での結果判定となるため、陽性になった際に中絶をするか否か、という心身ともに厳しい選択を迫られることになります。着床前診断では、妊娠の前に染色体異常を確認することができ、心身の負担を減らすことが可能です。

また、胎児の性別の判定については、どちらのの医療技術でも可能です。出生前診断では、日本産科婦人科学会の非認定施設での検査であれば性別開示のオプションもあります。着床前診断では、日本では性別開示は行われていませんが、海外では、性別の開示を行っているところもあります。

ファミリーバランス観点から、事前に生まれてくる子どもの性別を知りたいと思われる方も多くいらっしゃるかと思います。着床前診断では、妊娠前に将来生まれてくる赤ちゃんの染色体異常や遺伝疾患の有無が分かるだけでなく、科学的根拠に基づいた産み分けを試みることも可能です。着床前診断による産み分けについて知りたい方は是非お気軽にお問合せくださいませ。

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