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ハンドキャリー は合法?それとも違法?

国内や国際輸送の際に、「ハンドキャリー」との輸送オプションが提案されることがありますが、ハンドキャリーについて正しく理解していますか?正しく理解していないと、気付かない間に法に触れる行為を行ってしまう恐れがあります。

ハンドキャリーは基本的に合法ですが、合法的に行うためには、ハンドキャリー対象物に対して、輸送時の法律、規制、手続きを行う必要があります。

国内の規制、制限、および国際輸送の場合の法律、規制、輸出入手続き及び検疫手続きなどを行わない場合は、ハンドキャリーは違法になります。ハンドキャリーを依頼する場合、法令遵守が難しいケースが多く、コンプライアンス違反のリスクも高いので、注意が必要になります。

このコラムでは、貴重な荷物が没収や破棄になるリスクもあるハンドキャリーの輸送実態について解説します。

ハンドキャリーとは?

「ハンドキャリー(handcarry)」は、英語で「手で運ぶ」という意味を持つ言葉です。特に旅行や運搬において、手荷物として、自分の手で運ぶ物品を指します。たとえば、飛行機に乗る際に預け荷物ではなく機内に持ち込む荷物(carry-on luggage)も「ハンドキャリー」と表現されることがあります。

通常、ビジネスや流通では、ハンドキャリーを選ぶことは多くありません。国際輸送の場合、ハンドキャリーの各国の規制や手続きは明確でない場合も多く、手荷物として商用の荷物を運ぶのはコンプライアンス上でも疑問が残ります。

国際的な商取引や個人輸送の場面では、購入した商品や必要な物品を、自分で持ち帰る行為を「ハンドキャリー」と呼ぶこともあります。特に、関税や規制が関係する場面で使用されることが多いです。

急ぎの荷物や貴重品などをハンドキャリーで輸送したほうが良いと説明する業者もいます。確かに、自分の手で運ぶ方法が、輸送業者に委託する方法より早い場合もあります。国内輸送の場合は、輸送距離も短く、ハンドキャリーで移送する方法が早い場合があります。

その場合、ハンドキャリー輸送方法は合法なのかが重要になります。

国内移送時の ハンドキャリー の主な注意点

日本国内で移送を行う場合、輸送手段ごとに安全規制の確認が必要になります。特に危険品に該当する感染性物質や薬品、液体窒素(LN2)やドライアイス等を使用する際には公共交通機関の使用は制限される場合が多いです。

安全規制:

危険物(爆発物、可燃性物質など)を運ぶ際には、法律に準拠した適切な方法で運ぶ必要があります。適切な資格を持ったスタッフの責任のもと、物質ごとに梱包方法や車両への表示方法、積載可能量など、細かく定められた取扱いを行わなければなりません。

例えば、温度管理品での輸送で必要になるドライアイスや液体窒素(LN2)は危険物に該当するので、安全規制を確認し、取扱いが可能な業者が行う必要があります。

また、ハンドキャリーする物品が生物由来である場合、感染性の恐れがある場合、物量が多い場合、周囲に危険を及ぼす可能性がある場合は、法令に抵触する可能性があります。

車両や公共交通機関での制限:

電車や新幹線、バス、飛行機などに持ち込める荷物には規制があるので注意が必要になります。公共交通機関へは危険物に該当する荷物の持ち込みが禁止されています。

生殖細胞(卵子、精子、受精卵など)の輸送時には液体窒素を冷媒とし超低温状態の保冷環境を保つことのできる特殊な保冷容器(ドライシッパー)を使用して移送しますが、液体窒素は危険品に該当するため、公共交通機関への持ち込みは原則できません。持ち込みの禁止されている物品を持ち込んだ場合、没収や乗車拒否、罰金が科されます。

上記のような超低温での生殖細胞の国内移送時の場合、法令遵守したハンドキャリー時には、危険品の扱いのトレーニングを受けているスタッフが公共交通機関を利用しない移送方法で、安全を確保した状態で輸送を行う必要があります。

国際輸送時の ハンドキャリー の主な注意点

国際輸送時のハンドキャリーは特に規制や手続きが必要です。各国の規制や法律に従っての手続きを行わない場合、物品が当局に没収されたり、国によって逮捕、罰金が加算されるケースもありますので、各国の規制、法律、手続きの事前確認は確実に行う必要があります。

関税法:

国や地域によって持ち込める物品の種類や数量が決められています。ご自分の物でもない商品を「個人用」と偽ったり、申告を怠ると違法となる可能性があります。各国の輸出入規制をかならず確認してください。

また、輸出入規制や検疫事項は各国の事情で変更になる場合も多いので、違法にならないように最新の各国の規制を確認してください。ご自分で最新の規制の確認が難しい場合は、専門の輸送会社に国際輸送を委託することも可能です。

輸入禁止品・輸出規制品:

特定の国で禁止されている物(動植物、食品、文化財に該当する物品、武器、医薬品など)を持ち込むことは違法です。また、生殖細胞に該当する受精卵、精子、卵子などの輸出入が禁止の国も多いため、事前の規制確認が欠かせません。

これらの物品は、輸出入が禁止されていない場合でも、事前に輸出入許可の取得が必要になる場合があります。日本および現地の規制を細かく把握しておく必要があります。

税関申告:

一定額以上の物品や商業目的の品を運ぶ場合、適切な税関申告が必要です。虚偽申告や未申告は罰金や没収の対象になります。また、国際輸送の場合は、適切な輸出入手続きや税金の支払いが必要です。国によっては「貨物輸送業」の資格や登録が必要な場合があります。

違法となる行為の例:

  • 未申告で物品を国外から持ち帰る、持ち出す。
  • 麻薬や禁止物品を運ぶ。
  • 危険物や環境規制に違反する物品を持ち運ぶ。
  • 輸送目的を個人用と偽って申告する。
  • 税関申告を行わない。
  • 税関申告時に、誤った情報を当局に提出する。

まとめ

ハンドキャリーは原則として合法な手段ですが、合法に行うためには、対象となる物品に対して適切な法令・規制の遵守および必要な手続きの実施が不可欠です。

国内における規制や制限、また国際輸送においては関係各国の法律、輸出入に関する規制、通関・検疫手続きなどを適正に行わなければなりません。これらを怠った場合、ハンドキャリーは違法行為と見なされます。

特にハンドキャリーを外部に依頼する際には、法令遵守が困難となるケースも多く、コンプライアンス違反のリスクが高まるため、十分な注意と確認が求められます。

グリーンエイトではコンプライアンスを重視しております。そのため、ハンドキャリーは行っておりません。凍結胚の輸送、その他生殖細胞の国内輸送、海外への移送の際には、温度管理はもちろん、必ず最新の規制や法令を確認して、安全安心に、また法令厳守を行いながら国際輸送、国内輸送を行います。

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