危険物を保管する際、温度条件によっては化学反応が促進され、品質劣化や火災・爆発のリスクが高まることがあります。
特に、開発部門や原料メーカーから「指定温度以外では品質保証できない」と指示を受けている場合、危険物であっても保冷・冷蔵・冷凍といった温度管理が必要になります。
一方で、危険物倉庫の多くは常温保管を前提としており、「危険物の保冷保管に対応できる倉庫が見つからない」とお困りの方も少なくありません。
本コラムでは、危険物を保冷・温度管理しながら保管する際に押さえるべき注意点を、法令・設備・運用の観点から解説します。
目次
危険物の種類
消防法上の危険物は、火災の発生・拡大の危険性が大きいものや消火が困難な物質です。消防法上では性質や性状によって第一類から第六類に分類されています。
消防法で定められている危険物の分類が下記の通りです。
| 類別と性質 | 特徴 | 品名 |
| 第一類 酸化性固体 | 他の物質を強く酸化させる性質があり、可燃性と混合したときに、『熱・衝撃・摩擦』により、きわめて激しい燃焼を起こさせる。 | (1) 塩素酸塩類 (2) 過塩素酸塩類 (3) 無機過酸化物 (4) 亜塩素酸塩類 (5) 臭素酸塩類 (6) 硝酸塩類 (7) よう素酸塩類 (8) 過マンガン酸塩類 (9) 重クロム酸塩類 (10)その他のもので政令で定めるもの (11)前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの |
| 第二類 可燃性固体 | 火炎により着火しやすい固体、または比較的低温(40℃未満)で引火しやすい固体であり、出火しやすく、かつ燃焼が速い。有毒のもの、燃焼のときに有毒ガスを発生するものがある。 | (1) 硫化りん (2) 赤りん (3) 硫黄 (4) 鉄粉 (5) 金属粉 (6) マグネシウム (7) その他のもので政令で定めるもの (8) 前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの (9) 引火性固体 |
| 第三類 自然発火性物質及び禁水性物質 | 空気にさらされることにより自然発火し、または水と接触して発火し、または可燃性ガスを発生する。 | (1) カリウム (2) ナトリウム (3) アルキルアルミニウム (4) アルキルリチウム (5) 黄りん (6) アルカリ金属(カリウム及びナトリウムを除く。)及びアルカリ土類金属 (7) 有機金属化合物(アルキルアルミニウム及びアルキルリチウムを除く。) (8) 金属の水素化物 (9) 金属のりん化物 (10)カルシウム又はアルミニウムの炭化物 (11)その他のもので政令で定めるもの (12)前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの |
| 第四類 引火性液体 | 液体であり、引火性をもつもの | (1) 特殊引火物 (2) 第一石油類 (3) アルコール類 (4) 第二石油類 (5) 第三石油類 (6) 第四石油類 (7) 動植物油類 |
| 第五類 自己反応性物質 | 固体または液体であり、加熱分解などにより比較的低い温度で多量の熱を発生し、または爆発的に反応が進行する。このカテゴリーの物質は分子内に酸素を含んでおり、空気に触れなくても燃焼が進む。 | (1) 有機過酸化物 (2) 硝酸エステル類 (3) ニトロ化合物 (4) ニトロソ化合物 (5) アゾ化合物 (6) ジアゾ化合物 (7) ヒドラジンの誘導体 (8) ヒドロキシルアミン (9) ヒドロキシルアミン塩類 (10)その他のもので政令で定めるもの (11)前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの |
参考:総務省消防庁
https://www.fdma.go.jp/laws/laws/laws003.html
これらの分類のうち、特に第四類(引火性液体)および第五類(自己反応性物質)は、温度上昇により品質劣化や反応促進のリスクが高く、保冷・温度管理を前提とした保管が求められるケースが多くなります。
危険物の温度管理の重要性
危険物の温度管理が必要なのは、品質劣化や火災の危険性があるためです。
第四類(引火性液体)では、引火点を超える温度環境下において、静電気や微小な火源が引火の引き金となる可能性があります。
また、温度変化により化学反応が進み、品質が劣化するリスクもあります。
第五類(自己反応性物質)では、温度上昇によって反応が促進され、場合によっては爆発的な反応につながることもあります。このような理由から、温度管理が必須とされる危険物については管理体制に注意が必要です。
4類・5類の保管については下記コラムもご参照ください。
・4類 危険品 該当の医薬品原料を冷凍保管するには?
・消防法上 第5類 の危険物とは?どんな物質がある?
危険物の温度管理保管の注意点
危険物を保冷・温度管理しながら保管することは容易ではありません。その理由は、法規制・設備設計・電力・防爆対応など、複数の制約条件を同時に満たす必要があるためです。
放爆構造しながらの温度維持設計
危険物倉庫は、火災・爆発した際に屋根が吹き飛ぶ「放爆構造」が必須となっています。放爆構造と庫内の温度を維持するには難易度の高い施工技術が求められます。
電力系統の安定性
温度管理を維持するためには、電力が常に稼働している必要があります。電力系統が複数にまたがっていると、どこかの発電所が電力OFFになったとしても、その影響が微々たるもので収まります。
非常用発電機
万が一、電力の供給が途切れてしまった際のためのバックアップ体制も重要です。非常用発電機を設置することで、温度管理を常にできる体制になります。
空調・荷役用具を含めた防爆電気設備の用意
危険物倉庫の中では防爆電気設備を使用する必要があります。通常の電気製品を使用すると、危険物火災・爆発を促進してしまうからです。空調や、フォークリフト等の荷役用具を含めて防爆認定品となっているか注意する必要があります。
このように、危険物を温度管理するには、様々なことに注意をする必要があります。
危険物の温度管理の用意の仕方
危険物を温度管理する方法としては、下記があります。
自社で増設
一つ目が、自社倉庫を持つことです。自社で建設から始める必要があり、建設会社の選定から施工進捗管理をする必要があります。在庫数が多い場合には自社倉庫はメリットとなります。しかし、建設までの時間・料金ともに初期投資のコストが大きくかかります。建設計画策定から実際に運用可能になるまでには1年以上の期間を要し、消防との調整も必要となります。また、施工不良となった際のリスクが大きいことがデメリットです。
レンタル・外部委託
自社倉庫ではなく、外部倉庫のレンタルという方法もあります。外部倉庫の場合には、建設がすでに完了しているため、初期投資コストが自社倉庫増設に比べて格段にリーズナブルで、使用がすぐにできるのが特徴です。在庫数の上限に合わせてかけるコストを調整できる一方で、常に自社分のスペースを確保できるかは確認する必要があります。
外部委託での注意点
外部倉庫へ危険物の保冷保管を委託する場合には、事前に確認すべきポイントがあります。
特に、温度管理と危険物対応を同時に満たすためには、以下の点を必ず確認することが重要です。
・停電時のバックアップ体制(非常用発電機、電力系統)
・対応可能な危険物の類および温度帯(定温・冷蔵・冷凍)
・温度記録の取得・提供可否 (計測間隔)
・品質管理体制(医薬品・化学品の取扱実績)
・輸送対応の有無(国内輸送、国際輸送)
・業許可の有無(危険物屋内貯蔵所、倉庫業)
これらの条件を満たす倉庫は限られており、危険物の保冷保管に対応した設備・法規対応・運用実績をあらかじめ確認することが重要です。危険物保冷保管サービスについてはこちら。
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「危険物 × 保冷保管」という条件を同時に満たす倉庫は限られており、事前の要件整理が重要です。そのため、危険物の保冷保管では、設備・法規・運用を一体で理解している業者への委託が重要になります。まずはご相談からお気軽にご連絡くださいませ。
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